箱根用水(深良用水)は、神奈川県の芦ノ湖の水を静岡県裾野市に引くために、1670年(寛文10年)に造られた用水です。
大庭源之丞と友野与右衛門が、全長1,280mの深良隧道を掘り、水を通しています。
箱根用水(深良用水)は、疎水百選、世界かんがい施設遺産、土木学会選奨土木遺産などに指定されています。
また、箱根用水は、辰巳用水、五郎兵衛用水、玉川上水とともに、江戸初期に作られた「日本四大用水」と言われています。
裾野市のWebページから、深良用水に関するパンフレットをダウンロードできます。
箱根用水(深良用水)の水源は、神奈川県の芦ノ湖です。
「山梨の水は静岡のもの」ではありませんが、「神奈川の芦ノ湖の水は静岡のもの」です。
そのため神奈川県が芦ノ湖の水を事前放流することはできず、芦ノ湖では氾濫が発生しています。
最近では、2019年の台風19号でも、芦ノ湖は氾濫しました。
静岡県芦湖水利組合に慣行水利権があるため、治水面に問題があっても、法律的には問題がないようです。
江戸初期は、芦ノ湖の水利権は箱根神社にありました。 友野与右衛門は、200石を神領として奉納すると誓約し、深良用水隧道の掘削を行いましたが、その約束が果たされることはありませんでした。 箱根神社には、その立願状が残されていて、宝物館に展示されています。
箱根用水(深良用水)は、芦ノ湖の西岸にある深良水門から取水し、全長1,280mの深良用水隧道で、箱根の外輪山を抜けています。 深良水門へは、湖北峠から石畳の道が整備されています。
深良用水隧道を抜けると、静岡県裾野市です。 深良用水は、深良川として流れていて、発電にも使われています。
箱根用水(深良用水)は、黄瀬川上流から、上郷用水、中郷用水、下郷用水の3つに分かれています。 上郷用水は、深良川の豊後堰と古川堰などから取水しています。
深良用水には、用水の水を使うための石段などが残っています。
中郷用水は、黄瀬川の佐野堰から取水しています。
下郷用水は、黄瀬川の水窪大堰から取水しています。