マラソンのトレーニング方法

目標ペース

 マラソンのトレーニングを行う場合、目標ペースを決めて行うと効果的です。マラソンの目標は、フルマラソンの42.195kmを何時間未満で走れるかで、サブ5(5時間未満)、サブ4(4時間未満)、サブ3(3時間未満)のような感じで決めることが多いです。フルマラソンを一度でも完走すれば、それより早い時間を目標にすると良いですが、初めての場合は、目標ペースをどれぐらいにするかは検討もつきません。その場合は、下記のトレーニング方法で走り、時間を計ってみれば、目標も決められると思います。
 10km走の目標ペースは、個人差や、体調や、コースや、天候などによって違ってきますが、フルマラソンの完走タイムを達成するために必要な目標ペースを、統計データから推測した値です。

目標 フルマラソン
完走タイム
フルマラソン
目標ペース
10km走
目標ペース
サブ5 5時間未満 7:00/km(7:06/km) 6:30/km
サブ4 4時間未満 5:30/km(5:40/km) 5:00/km
サブ3 3時間未満 4:10/km(4:15/km) 3:50/km

 ペース毎の時間と、リーゲルタイム式を使った、統計による10kmの時間とフルマラソンの時間の関係を表にしたデータもありますので、興味がある方は見てください。表をクリックすると大きく表示できます。

 私は、10kmを4:50/km以内で走っていて、サブ4を達成できています。最近は、10kmを4:45/kmぐらいで走れるようになってきましたので、サブ3.5も達成できるかもしれません。
 統計上の数値ですが、私のランニング速度とも一致しているため、参考にしています。

ガチ・ユル走

 ガチ・ユル走とは、NHKのラン×スマ ~街の風になれ~という番組で紹介されていた方法で、目標ペースよりも1分早いガチ走と、ペース走よりも1分遅いユル走を組み合わせたトレーニングです。
 ガチ走では、体を刺激することで、脂肪を分解してエネルギーに変えるアドレナリンを分泌させ、脂肪を燃えやすくします。ユル走では、分解された脂肪をゆっくり燃やし、エネルギーに変えていきます。このことで、糖を節約して脂肪を使える体質にすることができるそうです。
 運動中のエネルギー源には、糖と脂肪があります。糖ばかりを優先的に使ってしまうと、体内に蓄えられる糖の量には限りがあるため、20~30kmでスタミナ切れを起こしてしまいます。そこで、脂肪を優先して使い糖を節約することができれば、スタミナ切れを起こさずにフルマラソンを走れるわけです。
 具体的な方法は、ウォーミングアップを長めに1km以上行った後、目標ペースよりも1分早いペースでガチ走を2km行い、次に目標ペースよりも1分遅いペースでユル走を7km行い、最後に目標ペースで1km走ります。走った後は、クールダウンして、トレーニング終了です。
 合計10kmのトレーニングですが、ユル走を10km増やして20kmにすることもできます。また、ガチ走が大変な場合、1km走った後、少し休憩して、残りの1kmを走っても、同様の効果が期待できます。
 注意点としては、ユル走の途中でペースアップしないことです。ペースアップしてしまうと、脂肪より糖が使われてしまってトレーニングの意味がなくなってしまいます。

距離 内容 サブ5のペース サブ4のペース サブ3のペース
2km ガチ走 6:00/km 4:30/km 3:10/km
7km ユル走 8:00/km 6:30/km 5:10/km
1km 目標ペース走 7:00/km 5:30/km 4:10/km

 ランニングウォッチを持っていれば、自動ラップを1kmに設定しておくと、1km毎にバイブレータで知らせてくれるので、簡単にペースを変えることができます。GARMIN製のランニングウォッチの場合、「アクティビティ設定」「自動ラップ」で設定しておき。通常のランニングアクティビティで記録できます。ランニングウォッチがない場合は、ペースを変える場所の目標物を決めておくと良いでしょう。
 ランニングウォッチを使うと、下記のようなグラフや表を作成することができます。標高、ペース、心拍数のグラフは、ランニングウォッチ(GARMIN ForeAthlete 735XTJ)のデータをGARMIN CONNECTで表示したものです。スプリットデータは、GARMIN CONNECTからダウンロードしたCSVファイルをEXCELで見やすくした表です。

標高、ペース、心拍数のグラフ
1km毎のスプリットデータの表

 このサンプルデータは、私のガチ・ユル走の実測データです。犀川の河川敷を走っていますので、0.5%程度の傾斜はありますが、ほぼ平らなコースです。ガチ走のときは、ペースと心拍数が上がっているのが分かります。私は、サブ4を目標にしていますので、目標ペースは、5:30/kmですが、それよりも少し早めに走っています。あと、ユル走は気を抜くとペースが上がってしまうので、ペースにはバラつきがあります。

ペース走

 ペース走は、一定の速さで一定の距離を走るトレーニングです。ペースは、目標ペースや、個人の体力に合わせて、無理のないペースで自由に決めることができます。距離は、5km、10km、ハーフ(21.0975km)が一般的です。これらの距離の場合、ランニングウォッチで自己ベストが表示されるため、他の人と競ったりすることができ、モチベーションの維持にもなります。フルマラソンの目標ペースが決まっているのであれば、同じペースでハーフを走り、本番のペースに慣れておくのも良いです。距離が5kmや10kmと短い場合は、目標ペースより30秒ぐらい早く走ると良いです。
 ランニングウォッチを使って、1km毎のスプリットデータを記録しておくと、トレーニング効果を定量的に把握できるので、良いです。GARMIN製のランニングウォッチの場合、「アクティビティ設定」「自動ラップ」で設定しておき。通常のランニングアクティビティで記録できます。ランニングウォッチがなくても、全体の走行距離と走行時間を記録しておくと良いでしょう。
 私は、ペース走でのトレーニング結果を5km毎の平均値で表示して、トレーニングの経過を見れるようにしています。マラソン大会でも提供されることが多い5km毎のスプリットデータと比較することもできる点が良いです。

5km毎のスプリットデータの表の例

 このサンプルデータは、ランニングウォッチ(GARMIN ForeAthlete 735XTJ)のデータをGARMIN CONNECTからダウンロードしたCSVファイルをEXCELで見やすくした表です。5kmより長い距離の平均値は水色で表示し、25km以上で早歩きした区間は赤色で表示しています。
 初めての富山マラソンまでは完走が目標だったため、ペース走の距離を伸ばすトレーニングをしていましたが、富山マラソン以降はサブ4を目的にしたため、トレーニングペースを上げたことが、一目で分かると思います。

ヤッソ800(インターバル走)

 800mの全力走と400mのリカバリ走の組み合わせを10本行うインターバル走です。このときの800mの全力走の時間の「分と秒」を「時間と分」に変えると、フルマラソンの完走タイムに近いと言われています。ですから、ヤッソ800を行うことで、自分の目標タイムを推測することができます。
 インターバルトレーニング機能付きのランニングウォッチを持っていれば、800mと400m走った時点でバイブレータを鳴らすことができますので、バイブレータに合わせてペースを変えて走るだけです。GARMIN製のランニングウォッチの場合、「トレーニング」の「インターバル」で、距離を0.8kmと0.4kmに設定して、ワークアウトを開始します。ランニングウォッチがない場合は、一周400mのトラックなど、400m毎に目印を決めて時間を計ります。
 フルマラソンの完走タイムとヤッソ800の800mのタイムとペースの一覧を作成してみました。この表を見れば、自分の速めのランニングペースからフルマラソンの完走タイムも推測できると思います。

フルマラソン
完走タイム
ヤッソ800
800mタイム
ヤッソ800
800mペース
5時間00分 5分00秒 6:15/km
4時間50分 4分50秒 6:02/km
4時間40分 4分40秒 5:50/km
4時間30分 4分30秒 5:37/km
4時間20分 4分20秒 5:25/km
4時間10分 4分10秒 5:12/km
4時間00分 4分00秒 5:00/km
3時間50分 3分50秒 4:47/km
3時間40分 3分40秒 4:35/km
3時間30分 3分30秒 4:22/km
3時間20分 3分20秒 4:10/km
3時間10分 3分10秒 3:57/km
3時間00分 3分00秒 3:45/km

 私がトレーニングを始めたころのヤッソ800の800mタイムが4分30秒程度で、初めてのフルマラソンの完走タイムは、4時間18分25秒でした。ですから、それなりに信頼できる数字だと思います。現在は、ヤッソ800の800mタイムが3分40秒程度まで上がりましたので、サブ4も達成できるのではないかと期待してトレーニングしています。


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