NHKの朝ドラ「らんまん」で出てきた花や、関連する花で、私が見た花を紹介します。
私が住んでいる石川県と、槙野富太郎が住んでいた高知県を中心に撮影しています。
花の時期でない写真も多いですが、ご了承ください。
らんまん ロケ地情報のWebページもあります。
ロケ地情報は、右上の「大中小」をクリックすると、すべての写真を見ることができます。
バイカオウレン(梅花黄蓮)は、キンポウゲ科オウレン属の多年草で、白い5枚花びらの梅のような花が咲きます。
NHKの朝ドラ「らんまん」の槙野万太郎(神木隆之介)のモデルとなった槙野富太郎が一番好きだった花です。
ドラマでは、槙野万太郎の母の槙野ヒサ(広末涼子)が、大好きな花として使われていて、槙野万太郎が植物の名前を調べるきっかけになりました。
バイカオウレンは、ドラマのオープニングにも出てきます。
バイカオウレンは、高知県高岡郡佐川町の牧野公園にある牧野富太郎の墓の近くや、高知県高知市にある牧野植物園などで見ることができます。
花は、2月~3月に咲くため、私がゴールデンウィークに高知県に行った時には、花が散った後でした。
バイカオウレンは、本州南部と四国に分布するため、日本海側では見られませんが、日本海側には、ミツバノバイカオウレン(三葉之梅花黄蓮)が分布しています。
ミツバノバイカオウレンも、キンポウゲ科オウレン属の多年草で、雪の下でも常緑の葉があり、雪解けと共に花が咲きます。
バイカオウレンと同じく、白い梅のような花が咲きますが、5枚葉ではなく3枚葉となる点が違います。
5月に福井県勝山市の取立山で見たときには、花は散っていました。
ジョウロウホトトギス(上臈杜鵑草)は、四国から九州に分布するユリ科ホトトギス属の多年草です。
9月~10月頃に黄色い垂れ下った花が咲きます。
ドラマには、槙野万太郎が黄色い花を発見するシーンが出てきました。
博物館の野田基善(田辺誠一)から「新種かもしれない」と言われ「植物分類学」を目指すきっかけとなりました。
ジョウロウホトトギスは、ドラマのオープニングにも出てきます。
ジョウロウホトトギスは、高知県高岡郡佐川町の牧野公園にある牧野富太郎の墓の近くや、高知県高知市にある牧野植物園などで見ることができますが、私は黄色い花を見れていません。
フジバカマ(藤袴)は、キク科ヒヨドリバナ属の多年草で、秋の七草にもなっているため、古くから知られています。
ドラマのオープニングには、フジバカマの花にアサギマダラが飛んでいるシーンが使われていました。
アサギマダラは、海を越えて1000km以上もの長距離を移動する珍しい蝶で、ヒヨドリバナ(鵯花)やフジバカマの花に集まります。
ヒメノボタン(姫野牡丹)は、ノボタン科ヒメノボタン属の多年草です。
紀伊半島、四国、九州、南西諸島など暖かい地域に分布しています。
秋に4枚花びらのピンクや白色の花が咲きます。
ドラマのオープニングには、ピンクの花のヒメノボタンが、槙野富太郎の絵と共に出てきました。
ダイサギソウ(大鷺草)は、ラン科 ミズトンボ属の多年草です。
秋に、白い鷺に似た花が咲きます。
本州南部、四国、九州に分布していて、高知県高知市にある牧野植物園などで見ることができます。
ドラマのオープニングには、白い花が咲くダイサギソウが出てきました。
ヒガンバナ(彼岸花)は、ヒガンバナ科ヒガンバナ属の多年草です。
曼珠沙華と呼ばれることもあります。
山口百恵の曼珠沙華という歌があり、「マンジュシャカ」と歌っていました。
白いヒガンバナも見かけますが、ヒガンバナではありません。
シロバナマンジュウシャゲ(白花曼殊沙華)という、ヒガンバナ科ヒガンバナ属の多年草です。
牧野植物園の説明にも「シロバナマンジュウシャゲは、ショウキズイセンとヒガンバナの雑種であるといわれており、白花のヒガンバナではない。ヒガンバナに似ているが、花はいちじるしく反り返らず、花弁に黄色や紅色が入ることがあり、葉はやや広いことが特徴。」と書かれていました。
ドラマのオープニングには、黄色い花のショウキズイセン(鍾馗水仙)と、橙色の花のオオキツネノカミソリ(大狐の剃刀)が出てきました。
どちらも、ヒガンバナ科ヒガンバナ属の多年草です。
本編では、槙野万太郎が、祖母の槙野タキ(松坂慶子)から、オオキツネノカミソリの名前を教えてもらうシーンがありました。
ショウキズイセンやオオキツネノカミソリは、高知県高知市にある牧野植物園などで見ることができますが、私は見れていません。
ムジナモ(貉藻)は、モウセンゴケ科ムジナモ属の多年草です。
ムジナモは、水中を浮遊する食虫植物で、葉に触れたミジンコやボウフラなどを捕まえて食べます。
ドラマでは、十徳長屋の人達と植物採集に行った時に、ムジナモを発見するシーンがありました。
ドラマの新しいオープニングには、ムジナモが追加されていました。
ガマズミ(莢蒾)は、ガマズミ科ガマズミ属の落葉樹です。
春には、小さな丸い5枚の花びらの花が集まって咲きます。
秋には、赤い実がなり、食べることができます。
ドラマのオープニングには、ガマズミの赤い実が、槙野富太郎の絵と共に出てきました。
ヤマトグサ(大和草)は、アカネ科ヤマトグサ属の多年草です。
ハコベに似た感じで、オシベが垂れ下がるのが特徴です。
ドラマの第1話で、伊尾木洞で槙野万太郎が発見したのは、ヤマトグサでした。
ヤマトグサは、高知県高岡郡佐川町の牧野公園などで見れますが、私が訪れた時は、花の時期が終わっていました。
ネジバナ(捩花)は、ラン科ネジバナ属の多年草です。
初夏にピンク色の小さな花が螺旋状に並んで咲きます。
花には、右巻きの花と左巻きの花があります。
ドラマには、子供の頃の槙野万太郎が、ネジバナを観察していて、右巻きと左巻きの個体があることに気が付くシーンがありました。
右巻きと左巻きがあるのなら、巻いていない直線的な個体もあるに違いないと探してみたら、ありました。
オオバコ(大葉子)は、オオバコ科オオバコ属の多年草です。
ドラマには、オオバコは踏まれて強くなる雑草の代表として出てきました。
「この世に雑草という草はない」という、槙野富太郎の名言も使われていました。
ナンバンギセル(南蛮煙管)は、ハマウツボ科ナンバンギセル属の寄生植物です。
最近は煙管で煙草を吸う人は見かけなくなりましたが、花の形が煙管の形に似ていることが、花の名前の由来です。
ナンバンギセルは葉緑素を持たないため、緑色の部分はありません。
秋の始めにピンク色の花を咲かせます。
ドラマには、子供の頃の槙野万太郎が、早咲きのナンバンギセルを見つけるシーンがありました。
ナンバンギセルは、全国で見られますが、私は富山県の頼成の森と石川県の兼六園で見ました。
ヤブデマリ(藪手毬)は、レンプクソウ科ガマズミ属の落葉樹で、春に薄黄色の小さな花が集まって咲きます。
薮に生えていて花が手毬のように丸いことが名前の由来です。
花の周りには白い大きな装飾花が咲くため、見た目はアジサイに似ています。
しかし、アジサイは、アジサイ科アジサイ属ですので、全く違う花です。
ドラマでは、槙野万太郎が博物館で、ヤブデマリをアジサイの仲間と間違えていました。
博物館の野田先生は、槙野万太郎に説明する時、ヤブデマリを「ブーちゃん」と呼んでいました。
ヤブデマリの仲間にオオデマリ(大手毬)がありますが、オオデマリの方が手毬のように丸いです。
タマアジサイ(玉紫陽花)は、アジサイ科アジサイ属の落葉樹です。
蕾が球形であることが名前の由来です。
タマアジサイは、アジサイのように梅雨時期に花が咲かず、真夏に花が咲きます。
ドラマでは、槙野万太郎が博物館で、ヤブデマリとタマアジサイを顕微鏡で見て、全く違う花だと驚いていました。
このことがきっかけで、槙野万太郎は顕微鏡を買って帰り、植物学を目指すようになっていきます。
博物館の野田先生は、槙野万太郎に説明する時、タマアジサイを「タマちゃん」と呼んでいました。
よく見かけるガクアジサイやアジサイやは、ホンアジサイから園芸用に改良された品種なので、蕾は球形ではありません。
シロツメクサ(白詰草)は、マメ科シャジクソウ属の多年草で、クローバーとも呼ばれています。
ドラマには、シロツメクサは、ウサギの餌として出てきました。
槙野万太郎は、船で荷物を運ぶ時の詰め物(緩衝材)として使われていたので、ツメクサと呼ばれていると解説していました。
四葉のクローバーを見つけると幸運になると言われていますが、キリスト教の人が、十字架に似ているからという解説もありました。
シロツメクサは、どこにでもありますが、四葉のクローバーは、人に踏みつけられる場所の方が、見つけやすいようです。
シロツメクサと同じ仲間である、ムラサキツメクサと、コメツブツメクサも犀川の河川敷に咲いているので、写真を撮りました。 ムラサキツメクサ(紫詰草)は、アカツメクサとも呼ばれ、花は紫色で、シロツメクサよりも背が高く、三ツ葉の先は少し細いです。 コメツブツメクサ(米粒詰草)は、キバナツメクサとも呼ばれ、花は黄色で、背は低く、花や葉もコメツブのように小さいです。
ツユクサ(露草)は、ツユクサ科ツユクサ属の1年草です。
ツユクサを乾燥させたものが、生薬オウセキソウ(鴨跖草)です。
ドラマには、槙野万太郎が、池田蘭光(寺脇康文)先生から「オウセキソウ」として、名前を教えてもらうシーンがありました。
ドクダミは、ドクダミ科ドクダミ属の多年草です。
ドクダミは、強烈な臭いを発しますが、十薬(じゅうやく)という名前の薬草にもなる万能な植物です。
ドラマには、十徳長屋のドクダミを抜いて十薬を作るシーンが出てきました。
ワルナスビ(悪茄子)は、ナス科ナス属の多年草です。 春に、白い星型の花が咲きます。花の形はナスやジャガイモの花に似ています。 「らんまん」のモデルとなった牧野富太郎も、自宅に植えて大変な目にあったので「悪いナスビ」と言う意味で名前を付けたそうです。 悪い点は、繁殖力が強く、トゲが茎や葉に生えている上に、有毒なことだと思います。
マルバマンネングサ(丸葉万年草)は、ベンケイソウ科 マンネングサ属の常緑多年草です。
ドラマでは、槙野万太郎が寿恵子さんに、マルバマンネングサのことを「丸い葉っぱで、万年緑色の草」と教えていました。
金沢の犀川では、マルバマンネングサではありませんが、同じ仲間で、細い葉が3枚輪生するツルマンネングサが見られます。
ツルマンネングサ(蔓万年草)も、ベンケイソウ科 マンネングサ属の常緑多年草です。
肉厚の葉を持っているので、多肉植物と呼ばれる仲間です。
6月に黄色い5枚の小さな花弁の花を咲かせます。
ドラマで、槙野万太郎が言っていたように、金色の星粒がキラキラしていて綺麗な花です。
2023年は、花の時期が早かったのか、5月末に満開でした。
ヒトツバタゴは、モクセイ科ヒトツバタゴ属の落葉樹です。
春に白い毛糸のような花を咲かせます。
ドラマでも「なんじゃもんじゃの木」が出てきましたが、槙野万太郎は「ヒトツバタゴ」のことを指すと言っていました。
地域によっては、他では見られない珍しい木を「なんじゃもんじゃの木」と呼ぶこともあるようです。
金沢では、天徳院の「ヒトツバタゴ」を「なんじゃもんじゃの木」と呼んでいます。
ヨコグラノキ(横倉木)は、クロウメモドキ科ヨコグラノキ属の落葉樹です。 「らんまん」のモデルとなった槙野富太郎が高知県高岡郡越知町にある横倉山で発見したことから、ヨコグラノキと名前を付けられました。 横倉宮の本殿の脇に、槙野富太郎が学会に発表した時の標本木が生えています。
ネコノメソウ(猫の目草)は、ユキノシタ科ネコノメソウ属の多年草です。
春に小さな黄色い花が咲き、花を取り囲む葉も黄色から黄緑色のグラデーションになります。
ドラマでは、横倉山に登った時、槙野万太郎が寿恵子さんに「猫の目のような実が付くからネコノメソウ」だと教えていました。
ササユリ(笹百合)は、ユリ科ユリ属の多年草です。
葉の形が笹のようになっています。
ドラマには、槙野万太郎の姉の槙野綾(佐久間由衣)が、失恋の悲しみの中でササユリを見つけて癒されるシーンがありました。
キレンゲショウマ(黄蓮華升麻)は、アジサイ科キレンゲショウマ属の多年草です。
夏に5枚花びらの黄色い円錐状の花を咲かせます。
ドラマには、田邊彰久(要潤)教授が、愛媛県の石鎚山で発見し、新種、新属の植物として発表するシーンがありました。
田邊彰久のモデルは、キレンゲショウマを発見した矢田部良吉です。
スエコザサ(寿衛子笹)は、イネ科アズマザサ属の多年草です。
葉の縁が外側に巻き込むのが特徴です。
牧野富太郎が宮城県仙台市で発見し、槙野寿衛子に感謝して名前を付けた名前だと言われています。
ただ、現在では、アズマザサの変種となってしまいました。
ドラマの最終回には、槙野万太郎が寿恵子に、スエコザサの名前を付けた植物図鑑を見せるシーンがありましたが、スエコザサはアズマザサの変種になってしまったため、現在発売されている「原色牧野植物大図鑑」には掲載されていません。
しかし、高知県高岡郡佐川町の牧野公園にある牧野富太郎の墓の近くや、高知県高知市にある牧野植物園などでは、スエコザサとして紹介されています。
NHKの朝ドラ「らんまん」のモデルになった槙野富太郎が出版した「原色牧野植物大図鑑」は、2冊で65,000円です。
最新版の「APG原色牧野植物大図鑑」は、2冊で74,800円です。
最新版と比較すると、中の植物画は同じで、分類方法がDNA塩基配列を用いたAPG体系になり、植物の並ぶ順序が変わっただけです。
私は、植物学の分類をするわけではありませんので、旧版の「原色牧野植物大図鑑」を古本屋で6,000円ほどで購入しました。
消費税のない時代でも65,000円もする図鑑なので、ずっしりと重いです。
原色牧野植物大図鑑は、植物学の父とも言われた牧野富太郎先生が描かれたイラストに色を付けたものです。
写真ではなく、絵なので、花と実がいろいろな方向から描かれていて、花を調べるには最適です。
しかも、綺麗な絵なので、絵を見ているだけでも癒されます。
ちなみに、ドラマで出版した「牧野日本植物図鑑」の初版は白黒印刷でした。
この本は、牧野日本植物図鑑インターネット版で、無料で閲覧することができます。